うつつ染めがたり > Vol.25  木野 光比己さんの『ホーユー資料館』

登場する方の「人生」を彩る「うつつ染めがたり」

多くの人に喜んでもらえる資料館を目指します。

TCURATOR × HOYU Vol.25 木野 光比己さん 館長 「ホーユー資料館」 「ホーユー資料館」 愛知県瀬戸市 木野さんが館長を務める資料館は、前身の展示室から2007年に資料館と名称を改めました。館内には、ホーユーが製造・販売してきた商品をはじめ、発売当時の看板が展示されているほか、数々のテレビCMを振り返るコーナーもあります。

愛知県名古屋市の名所・名物といえば名古屋城、テレビ塔、ひつまぶし‥‥。その名古屋市のお隣の瀬戸市にはホーユーの資料館があることをご存じでしょうか。資料館には、日本のヘアカラーの歴史がギュッと詰まっています。工場の一角にある資料館ということもあり、工場見学と合わせて、美容師や薬学を学んでいる学生など、さまざまな方が訪れます。今回は、資料館で館長を務める木野 光比己さんのお仕事ぶりを通じて、ヘアカラーの世界をご紹介したいと思います。※注 資料館の見学は取引先、関係団体、学校からのご依頼にのみ対応させていただいております。

ヘアカラーの歴史を展示する資料館です。

入社以来、商品の研究や企画に携わり、ヘアカラー一筋で仕事をしてきました。現在の資料館の仕事は、退職の数年前から担当していて、現在は雇用延長で引き続き仕事をしています。

ホーユーの歴史はヘアカラーの歴史ともいえます。そのため、この資料館では、ヘアカラーの歴史をホーユーの商品や当時の広告看板で振り返るほか、特別展示コーナーも設けています。特別展示コーナーは定期的に展示内容を変えていますが、これまで、ホーユーの薬や電飾広告物の歴史、ガラスビンなどについて紹介してきました。

過去の製品のなかには、戦災や空襲で現物が失われてしまい、当社に現物が残っていないものがあります。そのような製品について調べるほか、現物を探し出すことも資料館の重要な仕事です。
2011年には、当社が1909年に初めて発売した白髪染め「二羽からす」の現物を入手することができました。情報を集めていたところ、ネットオークションに出品されているものが見つかり譲り受けたのです。「二羽からす」は、現物が確認できる白髪染めとしては国内最古のものなんですよ。貴重なものですから、ぜひご覧になってください。

ホーユー資料館館内

説明をする木野 光比己さん

二羽からす

二羽からすの看板

時代が変わっても人が髪に求めるものは同じです。

資料館でヘアカラーの歴史を研究する立場になり、いかに知らないことが多くあるのかと驚いていますし、発見の連続です。日々、史料を収集して、そこから推理して仮説を立てて立証するといった謎解きのようなおもしろさも、この仕事の魅力です。

製品だけでなく、昔の人がどのような気持ちで髪を染めていたのかも調べています。例えば、日本で最初に髪を染めたのは、武将である斎藤実盛であるといわれています。斎藤実盛は1183年の篠原の戦いの際、「最後こそ若々しく戦いたい」という思いから白髪染めをして出陣したそうです。このエピソードは特別展示コーナーで紹介し、斎藤実盛はこのように染めたのではないかと推測した頭髪の見本を展示しました。初めて墨で髪を染めてみたのですが、意外に髪にちゃんと色が付くものだとわかって驚きました。当然ながら、ヘアカラーではないので色落ちは激しいですけどね。

資料館の仕事を始めてから気付いたのですが、時代が変わっても人が髪に求めるものは、それほど変わらないようです。当社の100年以上にわたる商品の歴史を見ても、人の髪への考え方や要望は同じではないかと感じます。言い替えれば、昔の商品から、現代に通じる新しい商品のヒントが得られるかもしれないということです。

図書館での調べものや料理が趣味です。

図書館へ行くのが好きなので、休日にもよく出掛けます。本を読むのは遅いのですが、調べものは得意なんですよ。ですから、資料館の調査活動も苦になりません。巷の風俗史や文化史を幅広く探るわけですが、地元の図書館だけでなく、東京の国立国会図書館へ足を運ぶこともあります。

休日の過ごし方といえば、以前はよく釣りへ出掛けていました。最近はあまり行かなくなった代わりに、月に2回ほど、名古屋の柳橋中央卸売市場へ行って魚を眺めて買って帰ります。料理が好きで魚も自分でさばくんですよ。魚にしても何でも、つくったものを人に食べてもらうのが好きですね。和食をつくることが多いですが、お菓子をつくることもあって、ケーキやアップルパイなどを焼いて会社のみんなに持ってきたこともあります。

名古屋で好きな場所は、なんといっても名古屋城ですね。地元でもあまり知られていないのですが、名古屋城はいろいろ見どころがあって楽しいスポットです。いよいよ5月の下旬には復元された本丸御殿の公開が始まりますし、また是非見に行こうと思っています。

館内を見渡す木野 光比己さん

お客様に説明をする木野 光比己さん

かつら

CM映像を前にした木野 光比己さん

名古屋城外観

名古屋市の景観

ご自身のことを語られる木野 光比己さん

「三羽からす」の現物を探しています。

資料館は瀬戸工場の一角にありますが、平日しか開館していないこともあり、社員の皆さんはなかなか訪れる機会がないと思います。そこで、資料館以外の場所でも展示するといった活動も始めています。これからも、できるだけ多くの皆さんに見てもらう機会を増やしたいですね。

いま、資料館として最大の課題は、当社が「二羽からす」に続いて1916年に発売した「三羽からす」の現物を見つけ出すことです。記録はあるのですが現物がないという状態が続いており、もどかしい思いをしています。三羽からすを探す当社のエネルギーが、世間に伝わればと思っています。
私一人の目の届く範囲は限られていますから、できるだけ多くの人から情報が得られるように、人とのネットワークづくりを大切にして、幅広い分野の人たちと交流するように心掛けています。皆さんに協力していただけたらありがたいですね。

日本で100年以上にわたってヘアカラーを作り続けているのは当社だけです。特殊な分野ではありますが、ヘアカラー全体の展示を目指して、多くの人に喜んでもらえるような資料館にしたいと思います。そして、資料館を通じて社会に貢献できれば嬉しいです。

笑顔の木野 光比己さん

特約店鈴木薬房の看板

ビゲン

ビゲンクリームトーン

館内の資料に目を通す木野 光比己さん

「仕事に対する興味や関心は、若い頃よりも高くなっている気がします」と話していた木野さん。資料館で研究をする立場になり、これまでとは異なる角度からヘアカラーの世界を見つめ直しているようです。これからも、長年培った経験を活かしながら、ヘアカラーの世界でご活躍されることでしょう。

白髪染めはオトナの女性の嗜み