うつつ染めがたり > Vol.35  犬飼 佳子さんの『熱海さくらや旅館』

登場する方の「人生」を彩る「うつつ染めがたり」

息子が設計する建物でお客さまを迎えられたら嬉しいです。

LANDLADY  × ATAMI   Vol.35 犬飼 佳子さんの『熱海さくらや旅館』 「熱海さくらや旅館」は、熱海港を臨む高台に建つ温泉旅館。和室、洋室、メゾネットタイプなどの客室があり、それぞれの造りや趣が異なるので、何度足を運んでも飽きることがありません。星の見える露天風呂や寝湯など、温泉も思う存分楽しめます。

純和風の門をくぐると手入れの生き届いた庭園があり、落ち着きのある佇まいの建物が姿を現しました。涼しげな着物姿の女将、犬飼 佳子さんに、お仕事や熱海のこと、ヘアカラーについて伺いました。

駅や海水浴場から5分ほど。海の幸が満載ですよ。

さくらやは、熱海駅からも海水浴場からも5〜6分という立地で、海側のお部屋からは、初島や大島が見えます。夏祭りのときには、花火も楽しめるんですよ。
建物は3棟に分かれていて、ちょっと複雑な造りです。そのぶん、何度来ても新しい発見があるかもしれませんね。
お部屋は全部で21室です。メゾネットタイプのお部屋も用意していて、ご家族でゆったりおくつろぎいただけます。大浴場や露天はもちろんのこと、内風呂も蛇口をひねると源泉が出てくるのは温泉地ならではです。

食事は、素朴でやさしい味付けが特長です。季節感を大切にして、冷たいものと温かいものをバランスよくお出しするようにしています。熱海ということで海の幸が豊富ですから、金目鯛やタラバガニなどのほか、あわびの踊り食いも楽しめますよ。お肉が好きな方のために、自家製のビーフシチューを手間暇かけて仕込んでいるのですが、こちらもファンが多い一品です。

海外からのお客さまにも和の空間や料理が好評です。

さくらやは創業から65年が経ちます。主人が社長を務めていて、私たち夫婦で3代目になります。23歳の時に結婚して旅館の仕事を始めたのですが、まったく不安がなかったわけではありません。でも、元々身体を動かすのが好きな方ですし、迷いなく旅館業に専念することができました。女将の仕事は、義母に一から教えてもらいました。義母はあれこれ言う人ではなくて、毎日背中を見ながら仕事を覚えていきました。

お客さまは長年ご愛顧いただいているおなじみさんが多くて、満足された様子で「また来るね」と言ってもらえるとやりがいを感じます。うちは昔ながらの麻雀室も備えているんですが、毎年決まった時期とお仲間同士で麻雀と温泉を楽しみにご宿泊になる方もいます。

最近は、インターネットで探して来たという海外のお客さまも少なくありません。香港や韓国、台湾など、アジア各国からお客さまがいらっしゃいます。和の空間はもちろんですが、和食が無形文化遺産に登録されたこともあって、食事を楽しみにしている方が多いですね。

趣味とおしゃべりが良い気分転換になっています。

仲居や板場で働く調理部とも積極的にコミュニケーションをとるようにしています。長く務めている人もいて、もう30年くらいになる仲居もいるんですよ。

私は、着物を着たときに襟足をすっきりした印象にしたくて、ずっとショートカットです。お客さま商売ですから、私も従業員も身だしなみには気を遣っています。例えば仲居の面接をするときに白髪が目立つ人の場合は、髪をきれいに染めるようにお願いすることがあります。髪の手入れをしっかりしていないと、お客さまにだらしない印象を与えてしまいますから。

年齢を重ねても、いつもでも若々しくありたいものです。じつは1年ほど前から乗馬を始めました。娘に、乗馬は筋肉がつくし姿勢が良くなるよ、とすすめられたんです。
乗馬のほかには、仕事にも生かせるかなと思ってフラワーアレンジメントを続けています。
乗馬にしてもフラワーアレンジメントにしても、友だちとのおしゃべりが楽しいですし、良い気分転換になっています。

お客さまがほっとできる空間やサービスを心掛けています。

熱海には観光地がたくさんありますが、みなさんよく行かれるのは、「お宮の松」と「貫一お宮の像」があるお宮緑地でしょうか。お宮緑地は、今年の6月に遊歩道が整備されたばかりなので、ぜひ足を運んで見てくださいね。

熱海は保養地としての歴史が古く、昔は社員旅行が多くて宴会も盛んに行われていました。演芸をたしなむお客さまが多くて、芸者さんを呼んで小唄や踊りに興じたりと、それは賑やかでしたよ。いまは、家族連れや二人連れのお客さまが多くなりました。細かい気配りが必要ですし、ほっとできる空間づくりやサービスが求められていると感じています。

30歳の息子がいるのですが、一級建築士として働いた後、いまはさくらやで一緒に働いています。フロントでのお客さまの対応や経理のほか、インターネットの管理もしてくれていて本当に助かっています。

近い将来、さくらやの建物を大改造できたらと思っています。建築をやっていた息子は、設計を担当してみたいようです。心強く感じていますし、息子が設計する建物でお客さまを迎えられたらこんなに嬉しいことはありません。

3棟に分かれた館内のお部屋などを見せていただきながら、お話を伺いました。年齢を感じさせない軽やかな身のこなしが印象的です。「若いころから身体が丈夫。女将向きかもしれませんね」と笑顔の犬飼さん。頼りになるご主人や息子さんと共に、これからも熱海の街を支えていかれることでしょう。

INFORMATION

熱海さくらや旅館

熱海さくらや旅館

ADDRESS

静岡県熱海市東海岸町9-11

TEL

0557-81-0345

URL

http://www.atami-sakuraya.com/

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