うつつ染めがたり > Vol.37  小玉 紫泉さんの『小玉紫泉つづれ織工房』

登場する方の「人生」を彩る「うつつ染めがたり」

地球の幸せを願い、思いを作品に込めています。

TRADITIONAL CRAFTSMAN  × KYOTO    Vol.37 小玉 紫泉さんの『小玉紫泉つづれ織工房』 「小玉紫泉つづれ織工房」は、爪掻本つづれ織(つめかきほんつづれおり)の伝統工芸士である小玉紫泉さんが主宰する工房です。小玉紫泉さんは、作品や注文を受けた帯などをつくる傍ら、一人でも多くの人につづれ織の魅力を知ってもらおうと、数人の生徒さんたちに技術を伝承しています。

専業主婦を経て、現在は爪掻本つづれ織の伝統工芸士として国内外で活躍している小玉紫泉さん。前回に引き続き、お仕事やご主人のこと、作品づくりにかける想いを語っていただきました。

独自研究を重ねたからこそ私だけの技法が編み出せました。

独立して自分の工房で作品をつくり始めてからは独自研究の連続でした。モチーフも技法も、アイデアを思いついたら試してみて、ここをもう少し改善して‥‥といった繰り返しです。
柄織の一般的な知識があまりなく、独自に研究してきたからこそ、私だけの技法が編み出せたのだと思います。たとえば「月影」という作品には、帯に縦糸だけがすだれ状に通っている丸い窓を開けました。嬉しいことに、本つづれ織秀作発表会でグランプリを獲得して、合わせて技術賞も受賞したんですよ。皆さん「どうやって丸窓の縁取りをしたのか」と不思議に思われるようなんですが、それはいまでも企業秘密なんです(笑)。

家族の髪はもちろん、自分の髪も自分で手入れします。

つづれ織は、主人が導いてくれた道だと思っています。主人は57歳のときに他界しました。主人に先立たれてくじけそうになった時期もありましたが、がんばってつづれ織を続けてきました。いつか主人の元へ旅立ったとき、道半ばでくじけていたら叱られてしまいますから。

主人は亭主関白で、私はとても従順な主婦だったと思います。地球は主人のために回っていると思っていたほどです。
家事のほか、子どもや義母の世話などをやりながらの作品づくりは本当に多忙でしたが、充実していました。つづれ織をやっているからといって、家事や家族の世話をおろそかにしたくはありません。以前は、家族みんなの髪を私がカットしていたんですよ。主人はもちろん、義父、義母、二人の子どもたちもみんなです。慣れない頃は、主人の頭を虎刈りにしてしまったこともありますけど(笑)。
自分で髪を染めることもありますし、いまでも忙しいときは自分で髪をカットしています。目を閉じて、指の感覚を頼りにこの辺かな‥‥チョキンという感じで。慣れると意外と簡単なんですよ。

孫がつづれ織に挑戦。集中力に驚かされます。

いま孫が2人いるのですが、5歳の孫が、早くもつづれ織に興味を持ち始めています。小さくて大人用の機(はた)では足が届かないので、あれこれ工夫して子どもでも使えるように一台改良してみました。この前、その機を孫が初めて使ったのですが、2時間集中して織り続けていて驚きましたね。

私自身は子どもの頃から発明が好きで、中学生の頃、教室のドアにゴムひもをつけて自動ドアにしようとしたことがあります。でも、失敗してゴムひもが先生の顔を直撃して、いたずらだと思われて怒られました。
小学校のときは漫画家になりたかったですし、高校生の時はイラストレーターになりたかったですね。絵を描くのが好きだったこともあって、つづれ織の図案もすべて自分の手でやっています。

世界各国の風景をモチーフにしています。

絵を描くのも好きですが、昔から天体の世界が大好きです。できることなら宇宙旅行に行って、地球を見てみたいくらい。こんど生まれ変わったら科学者になってみたいですね。

近年は、世界のさまざまな国の風景をモチーフにすることも多いんですよ。それは、世界のいたるところで地球温暖化が進んで自然が崩壊していることに関係しています。私にできることは、作品を通して警鐘をならすことだと考えました。地球温暖化でこれ以上自然が破壊されないよう、願いを込めた作品をつくっています。たとえば、地球温暖化の影響で海水面が上昇し、近い将来、水没してしまうといわれている国の姿を作品に残したりといった活動をしています。作品を通じて、皆さんに想いが伝われば嬉しいですね。地球の幸せを願っています。

パートとして飛び込んだつづれ織の世界で見事に羽ばたいた小玉紫泉さん。
作品からは好奇心旺盛かつ研究熱心なお人柄が伝わってきました。天国にいるご主人が、これからも小玉紫泉さんの活躍を見守っているに違いありません。

INFORMATION

小玉紫泉つづれ織工房

小玉紫泉つづれ織工房

ADDRESS

京都市北区平野鳥居前町24-33

TEL

075-465-5484

URL

http://jpn.shicen.com/

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