「人形の髪が伸びた」という怪談は、日本各地で耳にしますが、
本当に人形の髪が伸びることはあるのでしょうか?
結論からいうと、人間の髪を使った人形の場合でも、
一度切り離した髪が勝手に伸びることはありません。
今回は、人形の髪が伸びない理由と伸びたように感じられる
原因について考えてみましょう。

人形の髪が伸びることはありません

古くから伝わる日本人形の場合、本物の人間の髪を切って使っていることが多いので、「人形の髪が伸びた」という話を聞くと「そんなこともあるのかな?」という気がするかもしれません。

しかし、一度カットした髪の毛が、勝手に成長するものなのでしょうか。

まず、髪の毛が伸びるメカニズムに注目してみましょう。

毛髪は、毛根にある毛母細胞が分裂することで伸びていきます。毛母細胞が分裂するためには、血液からの栄養補給が欠かせません。

つまり科学的な見地からいうと、すでに人間の頭皮から切り離されて、血管と繋がっていない人形の髪が勝手に伸びることはないのです。

人形の髪が伸びて見える理由1:髪の毛がずれた

では、成長するはずのない人形の髪が伸びたように感じられる原因は、何でしょうか。

ひとつめは、「髪の毛がずれた」ことが考えられます。

本物の毛髪を使っているたいていの人形は、1本の長い髪を2つに折ってくくり、その両端を毛先とすることで2本の髪に見せています。

人形を触っているうちに、毛先が引っ張られてずれてしまい、一方の先が長くなったように見えることで、髪が伸びたと感じるのではないでしょうか。

人形の髪が伸びて見える理由2:湿度が原因

また、「まっすぐ切り揃えられていたはずの人形の髪が、時が経ってバラバラの毛先になる」という現象は、科学的にも説明がつきます。毛髪は、切り離した後でも湿度によって伸びたり縮んだりします。

このコラムを読んでいる方の中にも、「乾燥した日に髪がパサつく」「雨の日に髪の毛が広がってスタイリングがまとまらない」と感じている方は少なくないでしょう。

こうした髪の毛の変化は、毛髪が空気中の水分を取り込んだり、放出したりすることで起きています。

湿気による伸縮度合いは髪の毛の太さなどによって個人差があるため、人形に使われた髪質のばらつきが原因で、人形の毛先がそろわなくなる可能性は十分に考えられるというわけです。

余談ですが、18世紀に発明された「毛髪湿度計」は、毛髪が伸縮する性質を利用した湿度計で、現在でも気象観測に用いられています。

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